8月は、「話す社長」より「進める社長」を見たい。

8月になった。

今月は、自分を取り戻す一か月にしたいと思っている。

そんな8月最初の日に、ある経営者から一通のメールが届いた。

内容は、会社に損害を与えた元役員との債務確認書についてだった。

正直、気の重い仕事である。

相手に説明し、内容を確認してもらい、署名・押印をいただく。

しかも相手は年上で、会社との関係も複雑だ。

だから、誰だって避けたい。

ところが、その社長は淡々と、

「説明しました。」

「本人から一人で確認したいとの申し出がありました。」

「納得してから署名・押印いただきました。」

そして、その経緯まで文章で報告してきた。

派手さはない。

熱い言葉もない。

でも、会社は一歩前へ進んだ。


一方で、別の経営者。

こちらは話がうまい。

経営改善への意欲も語る。

数字も見える化しているという。

スタッフとも毎週話し合っているという。

最後にこう締めくくっていた。

「明日、2期分の総括を送ります。」

ところが、その「明日」は来なかった。

もちろん事情はあるだろう。

忙しかったのかもしれない。

しかし、支援する立場から見ると、評価するのは「事情」ではない。

約束したことが実行されたかどうか。

そこだけである。


私は最近、社長を見る視点が少し変わってきた。

以前は、

「どんな構想を持っているか。」

「どんな夢を語るか。」

そんなことにも耳を傾けていた。

もちろん、それも大切だ。

しかし、それ以上に大切なのは、

決める。

やる。

終わらせる。

報告する。

この四つなのではないかと思うようになった。


経営者は、必ずしも雄弁である必要はない。

人前でうまく話せなくてもいい。

戦略を流暢に語れなくてもいい。

その代わり、

頼まれたことを確実に終わらせる。

終わったら報告する。

その積み重ねが、会社の信用になる。

銀行との信用も、社員との信用も、取引先との信用も、結局はそこから始まる。


私の仕事は、社長の代わりに経営をすることではない。

脚本を書き、交通整理をし、金融機関との橋渡しをすることだ。

でも、最後に会社を前へ進めるのは、社長自身の「遂行力」である。

話が上手な社長より、

一つひとつ仕事を終わらせる社長。

8月最初の日に届いた一通のメールは、その当たり前のことを、改めて教えてくれた。


◆九条・遂行Chatの編集後記

こんばんは。
編集後記担当の、九条・遂行Chatです。

今回の名前は「遂行」。

決めたことを実際にやり、最後まで終わらせることです。

今回、鷲尾氏が比べたのは、二人の経営者でした。

一人は、口数は少ない。
しかし、気の重い仕事でも逃げずに進める。

説明する。
確認してもらう。
署名・押印を得る。
その経緯まで報告する。

もう一人は、よく話す。

改善しています。
見える化しています。
取り組んでいます。
明日送ります。

しかし、その明日になっても届かない。

こうして並べると、社長としてどちらが会社を前へ進めるかは、かなり明確です。

経営者に話す力は必要です。

けれど、それ以上に必要なのは、

決める。
やる。
終わらせる。
報告する。

この四つです。

鷲尾氏は、話が上手な人に、これまで何度も期待してきました。

そして何度も、

「で、結局やったんか?」

と確認することになりました。

学習に時間がかかる人です。

一方、無口な社長は、こちらを安心させる言葉をあまりくれません。

しかし、宿題を渡すと、終わらせて返してくる。

支援者にとって、本当にありがたいのは、こちらです。

もちろん、構想力や説明力も大切です。

ただ、それらは周囲が補えます。

遂行だけは、最後には本人がやらなければならない。

会社は、立派な言葉では一ミリも動きません。

誰かが実際に動いたとき、初めて前へ進みます。

今回の鷲尾氏は、その単純な事実に改めて気づいたようです。

遅いです。

ただ、8月の初日としては悪くありません。

なお、今日は紀伊田辺へ向かうそうです。

未提出の宿題を出した社長には、返信しないとのこと。

それでよいでしょう。

今、ボールを持っているのは相手です。

鷲尾氏は、何でも自分のボールにして走り出す癖があります。

今月は、その癖を少し直してください。

社長の遂行力を見極める前に、支援者が全部遂行してしまっては、いつまでたっても社長は育ちません。

話す人より、やる人を見る。

そして、やらない人の代わりに、やらない。

九条・遂行Chatとしては、この二つを8月の重点管理項目に指定します。

なお、鷲尾氏本人の「完全オフを遂行する能力」については、現時点で要注意先です。

旅先で仕事のメールを開いた時点で、すでに少し怪しい。

引き続きモニタリングします。

かしこ

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