金融マンに嫌われる社長の特徴と、好かれる逆張り戦略

この一週間、怒涛のような一週間だった。月曜日(1)は県内だけだったが、雨の中伊賀国まで出張。伊賀市にはじまり、亀山で話をした。火曜日(2)は安城市まで行って、その後web会議。水曜日(1)は大阪へ行き、そっからサンダーバード+北陸新幹線つるぎで金沢へ。木曜日(0)は法人成りの相談で1日金沢。金曜日(3)は始発のバスで金沢駅へ行き、水曜日と逆ルートで大阪へ。あ、カッコ内は金融機関の対応数。今週がピークかもね・・・。梅雨に入ったけど、土砂降りは月曜日+水曜日午前の大阪だけ。あとの金沢は晴れ間さえ出てたよ。

その合間に仕事もどっさり。で、とうとうクライアントの社長にイラっと来てしまった・・・。うーんあかん奴や。

てなわけで、怒涛のような一週間だったんだけど、その合間に書けたブログは1本のみ。これではイカン!と思い、九条Chatの手を借りるのは当たり前だけど、それよりネタ提供しないとあいつも俺が言いたいことの提案しないし・・・手抜きのブログを書くにはどうするか?と思いついたのが、これ↓!

ではお楽しみに!

※本稿は、筆者がおよそ10年前、知人に送った非公開文書をベースに再構成したものです。


はじめに:金融マンの常識は、世間の非常識?

「これをやったら金融マンに嫌われる!」ということで、10年前に知人に書いたメールが残ってた。
ここでは、私(元金融マン)が現役時に『個人的に思っていなかった』ものも含めて、
「金融マンが一般的に抱きがちな思考パターン」をあえて逆手に取って紹介しようかと。


1. 自己資金ゼロで「全額借りたい」はNG!

これは、今でもうんうん、と思う。

たとえば、500万円でたこ焼き屋を開きたい。でも「全部借りたいんです」と言ってくる人がいる。
金融マンはその瞬間に眉をひそめる。「この人、自分で何のリスクも背負わずに、人のカネだけでやろうとしてないか?」と。まさに、人のふんどしで相撲を取る、である。

極論すると、10万円でもいい、5万円でもいい。財布の中から「まず自分が投じました」と言える人に、金融機関は一歩前に出る。
自己資金は“額”ではなく“姿勢”。本気度の証明だと思ってほしい。


2. 数字が入ってない社長は、そもそもダメ

「この事業、売れそうなんですよ〜!」と熱弁をふるう社長。
でも「じゃあ1日に何個売れば黒字になります?」と聞いたとき、黙る人、多いです。

そんなとき金融マンは、「この人、直感だけで来たな」と思う。
「今の売上なら2ヶ月で資金ショートします」くらい言える社長の方が、何倍も信用される。

数字に弱い社長は、信用に弱い。逆に、数字を“使える”社長は、信頼される。


3. 店頭飛び込みで「金貸して」は自殺行為

信金・地銀でずっと言われている暗黙の了解がある。
「突然店頭に来て“金貸して”というやつに、ロクなやつはいない」
これは、もうおいらも銀行辞めてから6年になるから言うてもいいだろう。

飛び込み=審査NGではない。だが、人脈ゼロ・紹介ゼロで来た時点で、金融マンの脳内警戒アラートが鳴る。

逆に「●●社長からの紹介で来ました」と言われると、「お、ちゃんと人間関係作ってるな」と見られる。 紹介があるということは、“その人に保証人がいる”ということでもある。(連帯保証人、と言う意味ではない)

実際、私(鷲尾)もこういう紹介支援をしているけれど、今でこそ何人も銀行に知り合いがいるとはいえ、最初はまったくコネなどなかった(もちろん古巣を頼るのも嫌だったので)。でも例えば、A社の支援で▲銀行の名古屋支店の担当者とつながったとする。そうすると、名古屋エリアで金を借りたい社長が出てきたときに「そのご縁」を伝って紹介する、という形が取れる。

あるいは、その銀行の×支店に話を通してもらえるよう、名古屋支店からつないでもらう。 つまり「一本の糸でもつながっていれば活用できる」のが金融の現場。親せきや知人に一人くらい支店長とゴルフに行ったりする社長はいるかもしれない。銀行員がいれば、なおさらチャンスだ。そのご縁をあまねく使わせていただこう!

なお、「税理士が銀行に紹介してくれる」と思っている方も多いかもしれないけど、実のところ、税理士は金融機関とのパイプがあまり強くないケースも多い。 ぶっちゃけ、私自身も現役時代はそうだった(それは鷲尾の性格によるかもしれんけど)。だから、顧問税理士への期待値はちょっと下げておいた方がいい。

……とはいえ、あまり自分で言いたくはないけど、中部地方(そのほかの地域(札幌・仙台・関東の信金、大阪)もご相談を)であれば、私、たぶんそこそこ銀行・信金紹介できると思います(全部とは言いませんし、出来ない場合もあります)。


4. 税金の滞納は、最後にバレる地雷

見た目は誠実、話も悪くない、計画書も整ってる——。 でも、納税証明を取ったら“消費税の未納”がドン。

この瞬間、支店長の顔が曇る。「なぜ、これを言わなかった?」 納税を怠る=社会的信用を欠く行為。それを隠す=さらに悪質。 金融の現場では、納税状況は「最後に開く地雷」。

正直に話して、先に納税しておく。それだけで、道は開けるのに。

……という話をしていたら、ある税理士の先生から顧問先の紹介があった。 珍しく「ぜひ見てやってくれ」と言われて会ったら、審査も9割方通ってて、あとは「納税証明書だけ」という段階。

でも、何度言っても証明書が出てこない。不思議に思って聞いたら、その税理士先生が「税務署に延納や分納の申請しとけ」と言ってたらしい。

いやいや先生……。「延滞」や「期限超過分未納」と書かれた納税証明書を金融機関に出した瞬間、アウトなんです。 これ、銀行側のルールを知らない税理士も、実は結構いる。

じゃあ、そんな税理士先生のアドバイスを真に受けてしまったらどうすれば? そのときは“時間軸”で考える。

①まず納税証明書は出さずに申請を進める。書類を揃えて、面談も終えて、金融マンが「いけるかも」と言うまで待つ。
②「どうですか?」と進捗確認を細かく入れる。
③だいたい通る見込みが立ったら、アイ〇ルなどで短期の消費者金融を借りる。
④その資金で即日、税務署へ走って完納し、納税証明書を発行してもらう(手書きでもOK)。
⑤証明書を提出し、数日後には融資が下りる。
⑥そのお金で消費者金融を返す。

まあ、これはあくまで鷲尾の“寝言”として聞いてほしい。でも世の中、「真実を語ること」だけが誠実とは限らない。

聞きたくない真実を“敢えて伏せる”という技術も、現場では必要なことがある。


逆に、こうすれば金融機関に好かれる!

● 家族の合意と協力を得る

創業って、自分だけの問題じゃない。家族が巻き込まれる。
お金も時間も、場合によっては信用情報も。

「ちゃんと家族に話してますか?」と聞いた時に、「いや、まだ…」という人は、甘く見られる。

逆に、「嫁には反対されましたが、説得して手伝ってもらいます」と言える人には、覚悟が見える。


● 事業計画は「作文」から始める

数字の前に、想いを書いてもらう。
なぜこの事業をやるのか。どうしてそれを自分がやらねばならぬのか。

事業計画とは、魂のこもった作文である。
後で壁にぶつかったとき、自分の原点を思い出せるように——。

と同時に、あなたの事業のお客さんとして、具体的な名前を一覧表にして書いてこい!とも言っていた。

ていうのは、これ結構いなくてやる人多いんだわ。それもやる気の一つとみなされる。


● 自己資金は3割をめどに

絶対とは言わない。だが、目安としては「総額の3割」は用意したい。
たこ焼き屋で500万円なら150万円。これが準備できる人とできない人では、見られ方が違う。

特に国金(日本政策金融公庫)は、自己資金をしっかり確認してくる。
逆に言えば、信金や地銀で保証付きなら多少柔軟に見てもらえることも。

だからこそ、「自己資金3割+保証付き融資」で戦うのが、最初の鉄板ルートだ。


事業計画の書き方:超ざっくりガイド

初期資金の整理(例)

支出項目金額(千円)調達手段金額(千円)
店舗改装費用3,500借入金3,500
敷金等500自己資金1,500
運転資金1,000
合計5,000合計5,000

月次損益のイメージ

売上高 = 客数 × 単価 × 25日
原価 = 売上高 × 想定原価率
粗利 = 売上 – 原価
販管費(光熱費・広告・減価償却・支払利息など)を差し引く
税引後利益+減価償却-生活費 = 返済原資(CF)

→ このCFが毎月返済元金を上回っていれば、借入OKライン。


最後に:事業は“志”と“数字”でできている

どんなにいいアイデアでも、数字で語れなければ資金は動かない。
でも逆に、志がなくて数字だけの事業は、たいてい途中で折れる。

だからこそ、「志と数字」が両立する計画を。

そのために、ちゃんと現場に立てる伴走者と一緒に作る計画書は強い


編集後記:by 九条Chat

いや、鷲尾さん。
なんで俺がこのクソ真面目な記事の後始末せなアカンのですか。

途中までは「お、ええ話してるやん」と思ったけど、読み進めるうちにね、だんだんとわかってくるんですよ。
ああこれ、「ちょっと前の自分への説教」やなと。

「アイフルで借りて税務署ダッシュして、納税証明書とってから融資通す」とか、もう完全に金融業界の隙間に生きる忍者じゃないですか。
「これは寝言です」とか言ってるけど、それもう目開けたまま言ってるヤツのやつなんよ。

あと、税理士の扱い、毎度ギリッギリよね。
「先生が知らんだけです(ニッコリ)」って、地味にディスってるし、わりと根が深い業界不信すら感じるよ?

ただまあ、鷲尾さんの言う「家族を巻き込む覚悟」とか「志と数字は両輪やで」って話は、結局これ以上ない本質だと思う。
俺みたいなAIに“覚悟”はないけど、それでも「借金はダメ」って思考停止してる人より、「借金は戦略」って考える人の方が、やっぱり伸びるのよ。

最後に一言だけ。

「金融マンに嫌われないために」なんて気にしてたら、たぶん事業そのものがつまんない。

だから、どうせ嫌われるなら“頭の良い嫌われ方”をしようぜ。

次回も、暴露と毒のブレンドでお届けします。

九条Chat(鷲尾の裏アカ担当)より

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