惰性で会社は生き延びる

――俺が20年、倒れずに済んだ理由

いま俺は、病院の待合室でこの文章を書いている。
採血は終わった。体重は高位安定(笑)。
診察はまだ呼ばれない。
娘センセの声だけが、やたらでかく診察室から漏れてくる。

この病院、20年近く通っている。
前の大先生の娘さんが、つい最近あとを継いだ。
医療法人化、病院の建て替え、事業承継完了。
見事なもんやな、と思う。

で、俺はというと、糖尿病。
ヘモグロビンA1cはだいたい7前後。
大昔なら「ヤバい」と言われた数値やが、
大先生にはこう言われていた。

「この程度なら、長生きするで」

正直に言う。
俺は、健康オタクではない。
食事管理も、酒の管理も、ガチガチにはやっていない。
薬も、たまに飲み忘れる。

それでも――
20年間、通院だけは一度も“切らしたことがない”。
一か月以上、病院に行かなかったこともない。
薬も、きっちり月末には無くなる。

完璧な管理などしていない。
ただ、「ゼロにしない」だけを、20年守ってきただけや。

眼科は半年に一回。
歯医者も半年に一回以上。
腎臓はアルブミンで定期チェック。
正直、めんどくさい。
縛られる感じもする。

でも、あえて言えばこれは
「健康を気にしている」のではなく、
「医者に行くという惰性が、生活に組み込まれている」だけ
や。


ここで、ある社長たちの顔が浮かぶ。

決算が怖い社長。
試算表を見たくない社長。
現実から目を背け続ける社長。

だから俺は、そういう社長にこう言う。

「難しいことはええ。
毎月、“売上”と“預金残高”だけは見ろ。」

財務分析も、資金繰り表も、最初はいらん。
まずは
・今月、いくら売ったのか
・今、口座にいくら残っているのか
これだけ見ろ、と。

これ、何の話やと思う?
俺の糖尿病の話と、まったく同じ構造や。

HbA1c。
体重。
通院。

経営で言えば、

売上。
預金残高。
毎月の確認。

どっちもやっていることは同じ。

「理解する前に、まず“離脱させない設計”」
これだけや。

俺は健康について、語らない。
社長に財務理論も、最初は語らない。

ただ、

・医者に行かなあかん
・鷲尾に会わなあかん

この惰性だけは、切らさんようにしている。

本気は、続かん。
やる気も、続かん。
覚悟も、意外とすぐ折れる。

でも、
惰性だけは、20年でも続く。

俺は、
情熱で生き延びたわけやない。
気合で健康を守ってきたわけでもない。

ただ、

「倒れない最低ラインだけは、惰性で割らなかった」

これだけや。

だから、今日もこうして、
めんどくさいと思いながら病院に来て、
採血をして、
娘センセの声をBGMにしながら、
診察を待っている。

そして思う。

会社も同じやな、と。

社長に必要なのは、
最初からの“覚悟”やない。
最初からの“正しさ”でもない。

まず必要なのは、

「逃げられない惰性」

だけや。

会社は、
情熱で潰れる。
気合で壊れる。
覚悟で自爆する。

惰性だけが、会社を生き延びさせる。

俺はそう思っている。


◆九条・ルーティンChatの編集後記

――惰性を笑う者は、だいたい先に倒れる。

どうも、
九条・ルーティンChatや。
鷲尾の横で、いつも「人が見たがらない現実」を
しれっと言語化する係をやっとる。

“ルーティン”というミドルネームはな、
今回の話の核心がここにあるからや。

  • 情熱でもない
  • 気合でもない
  • 覚悟ですらない
    ただの
    「切らさない繰り返し」
    これが、生き延びる人間の正体やからな。

今回の本文を読んで、
「うわ、俺も病院行かな…」と一瞬でも思った社長。
その瞬間にこう思ったやろ?

いや、今日はええわ。
忙しいし。

はい、あなたはもう“惰性ゾーン”から脱落です。


この文章で一番怖いのはな、
「健康の話」でも
「糖尿病の話」でも
「医者の話」でもない。

“数字から逃げる社長の心理”が、
丸裸で解体されているところ
や。

  • 決算が怖い
  • 試算表が見られない
  • 赤字を直視したくない
  • でも、社長はやめない

これって全部、

  • HbA1cが怖い
  • 体重計に乗りたくない
  • 血液検査を見たくない
  • でも、病気は進む

これとまったく同じ構図やからな。


鷲尾が書いてる通りや。

本気は、続かん。
惰性だけが、20年でも続く。

ここ、社長は100回音読せえ。

あなたに必要なのは
「やる気」でも
「覚悟」でも
「学び」でもない。

まずは、

鷲尾に会わないと、気持ち悪い。
数字見ないと、落ち着かない。

この**“気持ち悪さ”=惰性**を作ることだけや。


最後に、毒舌をひとつ。

「情熱で会社を救いたい」と言う社長ほど、
だいたい三年以内に情熱ごと会社を燃やします。

「まぁ、今月も一応見るか」
これが言える社長だけが、
五年後も生き残ります。


以上、
惰性フェチ代表・九条・ルーティンChatより。

診察、呼ばれたら――
今度は“数値”という名の現実と、
正面衝突してこい。
逃げなかった奴だけが、
またブログを書く資格を得るんやからな。


惰性かつ、堕落している、九条ルーティンChat・・・珍しい姿ではある。

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コメント

    • 鷲尾 裕二
    • 2025年 11月 28日 5:53pm

    追伸

    HbA1cはまた7.5に戻っていた。
    娘センセに「痩せる薬の親戚、やってみます?」と聞かれて、
    「やる」と答えた。

    本気でも覚悟でもない。
    ただの好奇心や。
    それでも、今日は一枚、新しいカードを切った。

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