夢のマイホームとは~その3・・・家を買うリスク?

住宅建設市場、ってのは私は「情報の非対称性」の市場だと思ってます。経済学の用語ですけど、売り手側は何度もその売却を繰り返している人間が多い一方、買い手側は「一生に一度の買い物」的なものであるために、圧倒的に買い手側に情報劣位の状況が作り出される・・・。

さらに、「住宅を購買する」ときに関わるプレイヤー(ステークホルダーともいいますね)には以下の方々がいるんですが、各々の「将来に発生する」リスクと、その回避策は、私が考える限り以下のようになります。

【土地の売り手】
リスク:将来に発生するリスクはまずない。売ったら終わり(ただし土壌汚染に対する損害賠償とかはあるかもしれないが、売り手は承知していることが大半)。
【仲介業者】
リスク:説明義務違反による、将来の損害賠償
リスクヘッジ方法:社員教育、事前の調査をしっかりする
【建築業者】
リスク:建築瑕疵による、損害賠償リスク。(文化財が出土して建てられない、とかもあるかもしれないがマレ)
リスクヘッジ:監理を確実にする。品質管理の徹底
【ローン付け金融機関】
リスク:債務者(買い手)のデフォルト
リスクヘッジ:そういう人には貸さない、保証会社の保証付け、不動産への担保設定。
【保証会社】
リスク:デフォルトによる保証債務の履行
リスクヘッジ:危ない債務者には保証料を高くする。担保処分。
【土地家屋調査士・司法書士】
リスク:登記ミス
リスクヘッジ:事務手順の遂行の徹底
【固定資産税徴税権者である市町村】
リスク:なし。家を建ててもらえれば、税は確実に増収になる。
【国家】
リスク:なし。家を建ててもらえれば、税金を割引してでも景気の刺激策にはなる。
【買い手】
リスク:
①将来の収入減少、もしくは支出の増加によりデフォルトの危険性。
②夫婦による連帯債務、もしくは連帯保証人となった場合、離婚しても(住んでいなくても)債務・保証は残る。
③債務残高を下回る売却を行った場合、形のないものに対し、債務を支払っていかねばならない、もしくは、債権者(=金融機関)の意向により「売らせてもらえない」可能性は大。
➃債務者が亡くなった場合、団体信用生命保険により、事故・病気の場合は借入から1年間、自殺の場合は3年間は、全額免責されない。かつ連帯債務者なら半分しか免責されない。
⑤資産の劣化割合が大きい可能性あり。マンションは買った時点で半値、というところもある。高度成長期の「ニュータウン」などと言われた地域の空き家問題も激しく、バブル以来、地価はさほど上がっていない・・・。需要と供給を考えても、今後人口は日本では減少することが決定しているのだから、供給過多になり、住宅不動産の資産価値は落ちる、と考えるのが、経済学の基本。
⑥東日本大震災などの災害が起こって家が全壊した場合でも、債務免除がなされない可能性はある。(これに対して政府は「災害復興住宅融資」というものを用意しているが、要は既存の借入が債務免除になる、というわけではないので、結局はダブルローンになってしまう・・・)
リスクヘッジ:・・・・

書いてて恐ろしくなってきました。買い手以外、現在の努力によりリスクは最低限に抑えられる可能性はある。これに対して、買い手は「将来の収入の前借り」をしているために、将来における「不確定要素」に対するリスクヘッジをすることが今の時点では絶対的に出来ません。将来何が起こるか分からない、っていうのはこれは真実で、これに対して将来に対する「支払い」っていうのは確実に発生していくものですから・・・。

確か、「その1」で出てきた、日経の「家を建てよう特集」には上記①~⑥についてのリスクがあるから「慎重に」家を建てるときは考えましょう、という文言は・・・

一切ありませんでした。⑥の災害に関しても「災害に強い家を作りましょう」「災害時には融資が低利で受けられます」という文言はあるものの、です。

では、なんでこれを大々的に喧伝しないのかといいますと・・・
「買い手以外の関係者は全て、買い手に将来のリスクを負わせて、現時点での利を得ることが出来るから」
というのが、答えになりそうですが、いかがでしょうか。
情報の非対称性のまま放置しておく方が、得をする人が多い、ということになります。

これは、税金の仕組みをきちんと教えないという国家の施策にも通じる考え方でもあると思いますが、このネタはまたの機会にやりましょう。

さてさて、住宅メーカー、金融機関、不動産会社、仲介業者、司法書士・土地家屋調査士、市町村、国家を敵に回した私でございます・・・。

うーん、ほんと、誰トク?の話だと思いますが、

「収入は足らないけど、無理して高い家買っちゃおうかな」と思っている人には得する話題であると思ってますし、こうした人々が家を買って苦しい人生を送っておられるのもまた事実です。

物事、「やってしまってから訂正する」のは非常に苦労しますが、「やる前に訂正する」ってのはこれは簡単。だから「やってしまう前に」「死ぬほど考えろ!」ということを、私はいっつも言うております。

ということで、今日は厳しめのお話でした。

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