伊和新聞R4.3.12日号の連載編集後記

さて、またまた間が開いてしまいました。

その間に、戦争やら地震やらいろいろありましたよね・・・。特に私個人的にはロシアのウクライナ侵攻が、世界大戦の端緒となるんではないか?なんて悲観的な気持ちになっております。この気持ち、外れることを祈っているのですが・・・。

さて、連載中の伊和新聞。まずはお読みください。

伊和新聞 令和4年3月12日号より・・

自分自身、大学出るときに「銀行に行きたい!」とかそんな強い思い入れがなくて、さらに実学系の勉強もしていなかったこともあって、「どこの業界が一番いいの?」とかいう気持ちもなく、ご縁のあった銀行に入行させていただきました。

さほど、銀行っていうものにプライドもなく(あ、だから俺浮いてたんだ、と今気づく)、とはいえ、わからないことばかりの毎日で、なんとか自分の業務というものに対して、「できる」とか思うようになったのが、10年くらいたったころかなあ・・・。そんな気持ちで始めても、25年も働けばそれなりに銀行で働くことの意味や、銀行が社会に対して、何ができるのか?ということも、悟り始めるわけです。

思い返してみれば、あまり自分に合った職場雰囲気ではなかったなあと思う一方、そこでやる仕事の「意義」と自分とを添わしていくことは、必然的にやらねばならぬこと、としてやって、いまこうして中小企業診断士としてお仕事をいただいているわけです。

記事だけではとどまらず、話は脱線しました。

まあ、私が入った段階ではSDGsなんて概念なんてなかったわけですし、それこそ私のような「変わり者」は排除というか同化させるという雰囲気で、また同質性を強く求める業界でもありますので、今や不人気業種になり果ててしまったと言わざるを得ません。

超保守的な業界でありますので、自主的に「変わる」ことはほぼないかと感じられ、外圧、すなわち世間様のご意見や、特に所轄官庁(金融庁)の意向により、経営方針が左右される部分がある、というても過言ではないかと思います。要は人の目を気にする業界であります。かつ長らくお上の指示する金利で営業活動を行ってきたがゆえに、他の金融機関は?という「横並び」意識も強い業界であります。さすがに21世紀になってかなり変わってきたとは思いますが・・・。

いいところもありますが、弊害も多くなってるなあ・・・というのが偽らぬ感想です。

さて。

古巣に対する、ドラスティックな提案があるのですが。特に地方の銀行に対して。

銀行の三大業務として、預金・貸金・為替というのを習うのですが、もう日清戦争後の清のように、その領域も浸食されてえらいことになってます。

預金はネットバンクも隆盛で、私も利用しているのですが、何がいいかっていうて、残高に応じてATMの無料利用回数や、振込手数料が無料になる回数が増えていく、なんてサービスもやってます。さらに通帳も発行がない。これは通帳発行が基本となる銀行は、通帳1通につき2000円だったと思うんですが、印紙を払っているのです。これだけでもコスト高になってます。これについても新興参入企業にも負けてしまうところではないかと、そう思います。あ、もっと言えば自社ATMの管理なんかも、むっちゃ金がかかることも聞いたことがあります。

貸金も、ローンに限りですが(のちのちの伏線です)、異業種参入が激しい。これも利便性でいえばネットで申込、ネットで審査、来店する必要もない、となれば、こちらにも分があるでしょう。

実は、ここ一般の方々はまず知らないのではないか?と思うところですが、消費性ローンに関しては保証会社に保証をつける際に審査をしており、銀行の審議はほとんどしておりません。私の経験上の話ですが、実はそうなんです。ローンは銀行が窓口ではあるものの、審査は自社でやっている商品はほぼなく、ほとんどが保証会社の審査により可否が決まってきます。これは以前にFP雑誌にも寄稿したことがあるのですが、いわゆる「ブラックリスト」なる個人情報がキメ手になってきて、これが真っ黒だともう借りられないということになります。これについてはまた稿を改めて深堀りしたいと思います。

最後、為替。これもかなり異業種から浸食されてます。一昔前は銀行しか送金はできませんでした。「手形」「小切手」の取引も衰退の一途で、「為替を組む」という古い日本語ももう若い人々はしらないんだろうなあ・・とちょっと寂しくなります。

なんせ、クレジットカードから、paypay、はたまた暗号通貨までの幅広い電子決済の時代になってしまい、紙の手形なんてトンと見なくなりましたし、流通量も激減しているはずです。今調べたら、1990年から2019年までのほぼ30年で、90年の4%まで落ち込んでおりました・・・詳しくはリンク先で。

さて、この外部環境の変化に、必死でついていくものの、銀行というものはストック商売であり、前世紀くらいから培ってきた、金融という特殊なインフラ構築+独占業務というのを背景に成長してきました。

ただ、この金融を取り巻く環境をみるに、メガバンクなら有り余る資本力を背景に大がかりな設備投資や人材投資、IT投資もできるでしょうが(とここまで書いてきてみずほ銀行の事件とか思い出し、それも業界柄困難であるかも・・・と思った)、地方の銀行では出来かねるのではないか、と考えるわけです。

では、どこに活路があるのか?

上述、匂わしましたが、「事業性の貸出」にはまだ活路があります。

確かに、こうした貸金をする会社なんかもあり、異業種の参入は激しいではないか?と思われるかもしれませんが、こうした貸金をする会社は、「社長の個人情報」に依存した審査をしている、ということを感じておられない方もいらっしゃるでしょう。実は社長の個人の資力が背景にあり、会社の将来性や決算書をあまり重視されておられない、と私は感じます。そこが、地方銀行の活路ではないか、と思うのです。

ま、興奮しすぎて大きな字で書いてしまいましたが。

では、銀行はどうか?と申しますと、中小企業宛は保証協会の保証を付けるのですが、やはりそこは内部稟議を通したうえで、というのもあり、中小企業の決算等をみて、それをもとに、個人の担保なども鑑みながら貸し出しを行う、という非常に多面的な審査を行っています(いるはずです)。

さらに、銀行には全額回収してなんぼ、という認識があります。ですんで貸している間の経営状態も常にチェックせねばなりません。

そういう、業績を逐次チェックして、経営者のお尻を叩きながらの伴走型の支援も含めて「金利に上乗せする」という貸金を創設してはどうか、いや今すぐでもできるんじゃね?と思っております。

まあ、これについては稿を変えて、ということになりますが、いやさ、銀行員の資質さえ高めれば、金利に上乗せしてしまえば、決算書は1年に1度はもらうのだし、試算表も3か月に1度チェックして、叱り倒すというサービスをすれば、業績もそれだけで上がっているところも、私ありますよ。業績が上がれば、金利に上乗せ分なんて回収してまだお釣りが来ます。

返す刀で中小企業のオヤジへ。

前職時代から言うてたけど、銀行に金利下げさせる交渉をするくらいなら、その時間営業に使って、もうけを出した方が、よっぽどいい時間の使い方だよ、ということを言うてました。

基本、商売はもうけられないならやめた方がいいし、人のお金で「やりたい事業で利益を出す」というのが借入するときの掟なんだから、そこは、考えてほしいとおもうし、その支援はしたいと思ってます。

ああ、編集後記といいながら、今後の深堀しなければならない議論がいっぱい出てきてしまった。今日も乱文で申し訳なく、このまま閉じさせてもらおうと思います。

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