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借金してでもキャッシュを持て?それ、誰が得すんの?

【1】ある“自称・経営の達人”のメルマガを読んだ朝
某日、私の元に自称「経営の達人」からのメルマガが届いた。
内容はざっくりこんな感じ:
- 不労所得である不動産投資を推奨
- 不動産投資をするなら、固定費の6ヶ月分の現金を持っておけ
- 6ヶ月分の現金が足りなければ銀行から借りてでも用意しろ
- 本業がダメでも、それで食いつなげるようにしろ
一見、「なるほどね~」って思う人も多いかもしれない。
でもね、読めば読むほど、私の眉間のシワが深まっていったんやわ・・・。
【2】このメルマガの“おかしな点”、ちゃんと見てますか?
❶ 「不労所得」ってホントに“不労”なのか?
まず前提として、「不労所得」という言葉に注意が必要。
たとえば不動産投資。たしかに、毎月の家賃収入は労働に直結していないように見えるよねー。
でも、その裏側には何があるのか?
- 空室リスクとの戦い
- 修繕、クレーム対応、近隣トラブル
- 資金繰りや税務処理
- ローンの返済
- 相場下落や天災リスクへの備え
つまり、「不労」どころか、かなり「労力」かかるんだよね。
経験も勉強も必要。
これを“気軽に副業でどうぞ”みたいなノリで勧めるのは、無責任にもほどがある。後述でこんな意見もあることを見せますね。
❷ 固定費6ヶ月分のキャッシュを持て?
「6ヶ月」ってどういう根拠で決めたんでしょうね?
例えば、地震や火事などによって壊れたとしても、保険は効いているだろうし、そういう大掛かりな不動産投資に対して貸した銀行もその災害に対して追い貸しもする確率が高い。基本的に不労所得が得られ、また入居‐退居のスパンはある程度長いから安定的な「現金収入が」「1ヶ月毎」に入ってくるはず。
なのに「とにかく6ヶ月分」って言われても、副業で不労所得のための「不動産投資」について資金効率がガタ落ちになるだけです。
しかも、本来ならばさらに「投資」ができる余剰資金まで寝かせる?
機会損失が膨らむだけじゃなく、“現金を貯めること”が目的化する恐れもあります。
本来、不動産投資については「投資する前に」十分に投資判断を吟味することが大事です。
ちょっと古いけど、金融庁もこんな啓発を行っている。金融機関でさえ信用できない世の中!(笑)!
アンケート調査では、一棟建物件の土地・建物を一体的に取得するための融資に係る管理態勢について、以下のような点が認められました。
①多くの金融機関では紹介業者の業務に係る適切性を検証するという着意がなかったと考えられること
②賃貸事業が生み出すキャッシュ・フローを主たる返済原資としたうえで、長期的な事業・収支計画の妥当性を見極めることが徹底できていない金融機関も存在すること
③物件の売買価格の妥当性や顧客の財産・収入の状況を自らが主体的に把握するという点で、改善の余地がある金融機関も認められること
金融機関においては、紹介業者の業務の適切性に係る十分な検証を行ったうえ、物件の生む収支を基礎とした長期的な返済可能性の見極め等を通じて自ら事業・収支計画の妥当性を把握する必要があると考えられます。
投資用不動産を取得する投資家においては、当該投資が不動産賃貸事業経営であることを十分認識し、長期的な事業・収支計画の妥当性やリスクをよく検討して投資判断を行うことが重要であると考えられます。
❸ 銀行から借りてでも6ヶ月分の固定費資金を確保せよ?
これに至っては、もうコンサルとしてのセンスを疑います。
信用という大事な資源を万が一の「保険」のため、現金のストックのためだけに使い切る。そんなん火災保険でいいんじゃない?
万一の時(例えば全壊、半壊の時)起こったときに、固定費の6ヶ月分程度では原状回復できへんやん!
しかも本業じゃなく、“もしも”のために、借入して現金ストック?
なんだかなあ、こういう人の言うこと、アイキャッチの警句を発するだけで、信用できないんだよな・・・。
【3】私の意見:経営も投資も「自分の頭」で考えるもの
何度でも言いますが、
「誰かの成功法則」は、あなたにとっての正解じゃない。
本業も、投資も、自社のキャッシュフローも、全部条件が違う。
なのに“テンプレ処方箋”みたいなノリで語られても、参考にはなりません。
むしろそれを「盲信」することのほうが危険。
【4】そして最後に:私のことも信じちゃダメ!
ここまで読んでくれたあなた。ありがとうございます。
でもね、最後にこれだけは言いたい。
「私の言うことも信じすぎないでください。」
大事なのは、「情報」じゃなく、「思考」です。
自分で考えて、自分のビジネスと照らし合わせて、
納得して、責任もって決める。
それが、経営者としての当たり前です。
【まとめ】
“固定費6ヶ月分を借金してでも確保しろ”
“不労所得でリスクヘッジしろ”
――この言葉を信じて、実行して、痛い目を見た企業や人を、私はいくつも知っています。
最後に残るのは、「責任は自分」という現実です。
甘い言葉ほど、裏にリスクがある。
今日のこのブログ、何か引っかかるものがあれば幸いです。
【編集後記】
これは20年前からブログを書いているときから言うているんだけど、「イヤなら読むな!」
メルマガってさあ、もうろくでもない記事もあるのよ。で、ゴーストライターやメルマガ書きの専門業者もいるって話だし、こういう何の役にも立たないメルマガを垂れ流すっての、なんだか罪深いような気もするのよ。
当然上記の文章もChatGPT君に手伝ってもらったんだけど、彼の書くことも妄信せずに、私は文章に適宜筆を入れてますし、根拠も示した・・・つもりです。特に金融庁が注意喚起をしているのは今回私にとっても勉強でした。
まあ、私のブログですからここに何書こうが私の勝手・・・と言いながら書くことには責任が生じることも重々承知でございますので、
前から申し上げている通り、スパムでなければ、コメ欄を荒らしてくれるくらいの読者いねーかな?と思う今日この頃でございます!
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