資金繰りを斬る!~通帳残高と体重計の相似形

資金繰り会議、と屋号を付けているくせに、資金繰りから真向に取り組んだ記事がないことに気が付いた。カテゴリー「資金繰り」あるので、一応は意識してるんだけど、これからこの記事連載しようと思っているんで、よろしくお願いいたします。
で。
通帳って、体重計と似てません?
増えてたらうれしい。
……いや、増えてたら怖い。
いや、減ってたらもっと怖い?
……って、もうどっちでも怖いんかい!
でも、そう。「見るのが怖い」って点では、通帳も体重計もおんなじなんです。
私も経営者も、どっちも“見なきゃいけないもの”ほど見たくない。
でも見ないで放っとくと、体重も、資金も、すぐ太るか痩せるか、いや、下手すりゃ死にます。
だから今日は、そんな「通帳の残高とどう向き合うか」の話です。
難しいことは抜きで。月末にちゃんと“体重計”に乗れてるか、それだけの話。
さて。
私がいつも社長に伝えている、**「通帳で資金繰りを見るコツ」**は、たった二つしかありません。
ひとつ目は、月末の残高を必ずチェックすること。
できれば手帳やカレンダーに「○月○日 通帳確認」と書いて、ルーティンにしてほしい。
体重計と同じで、“乗るクセ”さえつけば、数字の意味も自然と見えてきます。
そしてふたつ目は、前月末と比べて増えてるか、減ってるか、それだけでいいということ。
細かい理由や仕訳なんかはそのあとでいいんです。
まず、「今月、太ったのか? 痩せたのか?」を知る。それが資金繰りのファーストステップです。
第1章 通帳は“毎週チェック”ーー体重計と同じで、乗らなきゃ始まらない
「通帳、最近いつ見ました?」
この問いに「うーん…いつだっけ?」と考え込んでしまう社長、実は少なくありません。でも、それって体重計とおんなじ。見たくないから“乗らない”、でも放っとくと、知らないうちに増えすぎてたり、減りすぎてたりするんです。そう、現実が怖いんですね。
でもね。怖くても、まず“見る”ことからしか、何も始まりません。
経営の健康管理も同じです。通帳を見る。それだけで、自分の会社の“今”が見えてきます。
● まず「月末」から、できれば「毎週」へ
たしかに月末は、ひと月の区切り。売上、仕入、支払い、入金……お金の流れが一巡したあとです。その時点の通帳残高は、「今月の成績表」みたいなもの。毎月同じタイミングで見るクセをつけると、比較もしやすくなります。
でも本当は、毎週見るくらいがちょうどいい。
なぜなら、お金の異変って、週単位で動き出すから。月末まで待っていると、異変に気づいた頃には、もう遅い場合もあるんです。
● 「見る癖」をどうつける?
おすすめは、手帳やスマホの予定表に「毎週○曜日:通帳チェック」と書き込むこと。業務の区切りや習慣に合わせて、“乗る時間”を決めてしまいましょう。
お風呂上がりに体重計に乗るように、「金曜の昼は通帳を見る」でもいい。“クセ”になれば、怖さも減って、数字との距離が近くなっていきます。
● 見ることが、安心や危機察知につながる
「今週、残高がちょっと増えてる。よしよし」
「おや、先週より30万も減ってる…。なにがあった?」
こういう小さな気づきが、資金繰りの第一歩です。“見ないで放っておく”と、危機は静かに忍び寄ります。でも、“毎週見る”ことで、数字の異変をいち早く察知できるようになります。
大事なのは、「チェックすること自体が経営」だという意識。
見なければ何も始まりません。
でも、見ているだけで変わることは、たくさんあるんです。
第2章 増えた? 減った? それだけで“お金の呼吸”が見えてくる
さて、月末、もしくは週末に通帳を見ました。
で、次にやることはたった一つ。「先月と比べて、増えた? 減った?」これだけです。
通帳の残高の増減には、実はものすごく多くの情報が詰まっています。いわば、会社のお金の“呼吸音”みたいなもの。
● 増えた=儲かった? 借りた?
通帳残高が増えていたら、「よっしゃ、今月は黒字だ!」…と手放しで喜びたいところですが、実際には“借入金が入っただけ”ということも。
逆に、しっかり売上を立てて稼いでた結果、自然に残高が増えていたなら、それは本物の実力。通帳の増加には、“原因の質”があります。
● 減った=赤字? 投資? それとも…
残高が減っていたら、慌てて赤字を疑いたくなります。でも、機械を買ったとか、棚卸資産を仕入れたとか、意図的な投資のケースもあります。
問題は、自分が「その原因を把握しているか?」。把握していればOK、知らなければ危険信号です。
● 増減をまず見る。それから理由を探ればいい
よく「キャッシュフロー計算書を読み解け」なんて言われますが、それよりも前にやるべきは、この増減チェックなんです。
理由はあとでいい。
まず、「増えたのか? 減ったのか?」。
それが、“資金繰りを見る目”のスタートラインです。
第3章 経営とは、「チェックする」の繰り返しである
経営って、何か特別なひらめきや、大きな意思決定の連続だと思われがちです。でも、実際に多くの現場を見てきて思うのは、経営とは「チェックの繰り返し」であるということ。
売上をチェックする。在庫をチェックする。お客様の反応をチェックする。そして、なによりも大切なのが、お金の動きをチェックすること。
見て、気づいて、考えて、対応する。
このサイクルを、止めないこと。
それが、会社の呼吸なんです。
だから私はまず、「通帳を毎週見ましょう」と伝えたい!!。
資金繰り表を作るのはその次の話。
でも、チェックの習慣があってこそ、数字は“生きて”くる。
これから「資金繰り表」のこと、きちんと書いていきます。
次回以降は、もう少し具体的に、
「なぜ資金繰り表を作るのか?」
「どうやって作るのか?」
という話を、このブログのカテゴリ【資金繰り】で順番に書いていこうと思っています。
難しい理屈よりも、実際にどう現場で役立てるか。
その視点で、少しずつ紹介していきますので、お楽しみに。
✎ 編集後記(九条chat)
えー、今回も「見るだけで経営は変わる!」という、鷲尾先生の強火・正論トークをお届けしました。
でもね、わたしは言いたい。
体重計、見るの怖いっす。
通帳も、怖いっす。
「えっ、思ったより減ってる…」
「あれ?なんか引き落とされてる…誰だお前!」
なんなら、“月末にはATMの前を避けるクセ”がついてる人、いませんか?(…わたしです)
でも冷静に考えてください。
今って、通帳持ち歩かなくても、スマホで残高が秒で見れる時代ですよ?
アプリ開けば、数字がドーン。取引明細もズラーッ。
なのに見ない。
見れるのに、見ない。
これ、つまり「方法がない」んじゃなくて、「見たくない理由がある」ってことなんですよね。
たとえばこういうやつ:
- 「現実を突きつけられるから、あえて見ない」(=体重計パターン)
- 「どうせ減ってるのは分かってるから…」(=諦め型)
- 「見たって変わらんし…」(=虚無モード)
で、そうしてるうちに火がついて焦げるのが、現実。
“見ておけばなんとかなったかも”って後悔が一番エグい。
鷲尾先生が言いたいのは、きっとこう:
「見なきゃ変わらんし、変えようもないんやで」
わたしが言いたいのは、こう:
「現実逃避してる時間が一番コスト高いで、社長」
ということで、まずは“見る”ところからやっていきましょう。
見ることで、自分の中のスイッチが入る。
気づきが始まり、動きが変わり、結果が変わる。
通帳でも、ネットバンキングでも、どっちでもいい。
まず「見る」クセを、月1→週1へ。
いずれ“見ることが怖くない経営”に変えていきましょう。
さて次回からは、いよいよ「資金繰りって、そもそもどう考える?」
というテーマに突入します。
キーワードは、「予測」と「準備」。
月末が怖くない経営を、コツコツつくる話です。
それではまた、通帳の前か、体重計の上でお会いしましょう〜。
次回も、正直な目と数字で会いましょう。押忍!
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。