文芸賞のあとがきみたいなもの_その2

2年ぶりに同じタイトルで作文を書きます。前回はここ

Facebookでもちらりと申し上げましたが、2年前から挑戦している四日市文芸賞ですが、2年前は評論(みたいなので)奨励賞(第三席)、去年は選外、今年は第40回記念審査員特別賞、と今回はなんというかビミョーな感じですが、選ばれる、ということはやはり得難い体験なので、その誇らしさと今のうち(今日が授賞式だった)に書いておこうかと。

文芸賞の結果はここ

なんですが、今回受賞したタイトル見ただけで、ああ、負けたな・・・と正直に思った。いや、紫草の女、消えたヴィーナス、統合失調症の詩人、石に祈る女・・・いや「紫草」なんて単語使ってみたいけど知らねーし、消えたヴィーナスや石に祈る女なんてそこはかとないエロスまで感じさせるようなイメージも持たせてるし、さらに統合失調症の詩人、これ太宰がパビナール食らってヘロヘロになりながら書いてた時代の作品を想起させるような(実際パラパラと見たらそうだった、でも個人的にはこういうのが「文学」と強く思う)、もうタイトルだけで、自分の負け、いやはや私も自分のタイトルには今回は自信があったんだけど、こんなのに並ばされると平凡さが際立ってて・・・ね。もちろん悔しいとも思うんだけど、今回はそれ以前に、ああ敗北、となんとなく思わせるような結果でございました。

表彰式はこんな感じだったんですが。

この表彰式で、担任ではなかったけど母校の恩師の選者の先生が、評論に力がある鷲尾さんが・・・うんぬんと特別にお言葉をいただいたのは恐縮すぎるお話しではありましたが、自分の中での評論と小説の関係については後述。

んでもって、その後の懇親会。前回出なかった、ケーキが出ました!

これを食らいながら、まずは3名の女子中学生が書いた想いとか語っていって、選者の先生たちがコメントを述べる会へと突入です。

まず。基本的に私は48歳にして初めて小説というものをすなり、であり、そりゃブログとか単なる「作文」というものは書いておりましたが、彼女らはなんと小学生から書いているとか・・・。もうその時点で負けやん!と思わざるを得ませんでした。

それから大人の部。

優秀賞の方からお話しされたんですが、なんと中国語を教えている先生で中国古典を自分で研究したそうな、そこから着想を得て「紫草」という語を使ったとか・・・俺なんて中国古典と言えば中島敦を知ってるくらいで満足なんだから、私のバックボーンも卑小なもんです、はい、負け!

次の方も、次の方も、いくつかの文章を書いて、その中からご自身の中で珠玉と思われるものを満を持して応募してるとおっしゃってた、はい努力の量で完ぺきに負け。

最後のほうの貫禄のある男性、四日市でも文学団体の重鎮らしい方、「私にとって駄作ですわ」・・・もうこの言葉だけで負け。

さて、自分の発言の番が来ましたわな。まあそれだけ負けがこんでたら、もう開き直りしかなく、思う存念を述べさせていただいた。そもそも文芸賞や!ということで1年に一回、それも盆過ぎてから考えて急いで書くことが恥ずかしい、皆さんより読書量は少ないし、中学生で受賞された方に比べたら浅すぎる経験、でも、自分の生業では何百人の経営者と「深く」接しており、その人生そのものが小説というものではないのか? それにかかる本作に対する思い、果たせぬ志を持ちながらかなわない経営者、実はこの主人公にはモデルがおりまして、この作品にはモデルがいてこの前本当にお亡くなりになったんです、その2週間前本作を読んでいただき、感謝されたこと・・・というところで現実を思い出し、ウッとなってしまった。

うん、いいんじゃない、それで。審査員の先生方が「行間で表現せよ」「深い雑学」「言いすぎるな、含みを残せ」・・・などのありがたい言葉を投げかけてくれる、が、そう高校生の時にはそれも憧れたんですよ、実際。その「行間を読む」、さっきの中島敦も、太宰も、三島も、龍之介も、その行間の美しさというのが日本語の美しさでもあることも十分に分かるんですよ。

でもね、こういう仕事をしていると、伝えることが正確であることが大事で、まず行間を読め!なんていっちゃうと、誤読を招いてしまう危険性もあるからさ・・・とか言い訳をしてみる、いや文学と文章はそこが違うんだから・・・。

その「行間」や「含み」を正確に伝える、いやちょっと違うかな読み手の解釈によっていかように読める、という意味において、やはり私の中では小説・物語>評論という順序ができてしまうんだよなあ・・・。

でも、精進します、って言うてしまったから、出来上がりが評論であろうが小説であろうが、そんなん関係なく、いま考えているネタを書くのみではないか、と思うのであります。

そうした、文学に思いを馳せるひととき、ってのはなかなか私の生活ではないことなので、これも得難い経験でありました。

実は、愚妹と一緒にやろう!いうてる会社の設立記念セミナーとマル被りの日程で、表彰式・懇親会が終わった後、30分後には打って変わって俗な「カネ」の話題を人前でお話ししてる、という、またこれも得難い体験の1日でございました。

現在、足掛け8年作文にエントリーしている私ですが、稼いだ金額は、今回で総額13万円也(含む図書カード+記念品?)。なかなか好きをお金にするって難しいことですが、考え方によってはそれも文学にとっては換価することが侮辱かもしれませんが、精進します。

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